電気自動車のEV車に使われているバッテリーの価格は、年々価格が下落傾向を見せていましたが、ここに来て再び上昇に転じるとの見方が濃厚です。2021年末の時点で既にその兆候は現れており、少なくとも2022年のバッテリー価格上昇は避けられない見込みです。このEV車のバッテリーはリチウムイオン電池で、エネルギー密度の高さによってスマホから電気自動車にまで使われているものです。

しかし、感染症の拡大もあって原材料のコバルト、ニッケルといった素材の価格が上昇中です。コバルトやニッケルは正極に用いる素材で、これがないとリチウムイオン電池を作ることができませんが、自動車メーカーの各社は工夫してコスト増に対応しています。高ニッケル型はコバルトの使用量を減らすことに成功したタイプで、使用量を抑えられる分コストも抑えられます。リン酸鉄型はそもそもコバルトを使わずに済むので、大幅なコストの抑制に成功しています。ところが、原材料の価格上昇はコバルトやニッケルに限らず、他のものにも見られるようになりました。
このようにバッテリーの重要な素材以外も仕入れコストが上昇を始めたことから、バッテリーの値段が上がるのは避けられないでしょう。更に厄介なのは有事の発生で、特定の素材の流通量が世界的に減少して、仕入れコスト増に拍車が掛かる恐れがあります。いずれにしても、当面はコストダウンに期待するのが難しく、現状維持も限界で値段が上がるのは必至という様相です。感染症や有事の影響がいつまで続くかは見通しが立ちませんが、2022年中の影響は免れられなさそうです。
現在EV車に乗っている人は、交換費用の負担増を覚悟する必要があるでしょう。電気自動車の購入を検討している人にとっては、しばらくの間は状況が落ち着くまで、購入を見合わせた方が良いと思われます。リチウムイオン電池は研究開発の努力によってコストが削減されてきましたが、ガソリン車波のコストになるまでには、まだまだ時間が掛かる様子です。見立てではコストの削減が2年遅れると見られており、コストダウンのトレンドが停滞するのは間違いないです。問題はどのタイミングで下落のトレンドに戻るか、そして以前のようなペースで下落を見せるかです。
先行きが不透明な2022年は状況の変化を注視して、2023年以降の動向を見守る必要がありそうです。バッテリーの交換を控えている人は、交換費用が本格的に上がる前に早めに済ませて置くのが良いでしょう。